ダブルパンチ、いやトリプルパンチか

今日はアポ、金曜日にアポを組むなんて、正気の沙汰ではないと思ってる。

 

せっかくの華金。街は浮かれ、人も浮かれ、Lゲでも連れ出しでも即でもなんでもできる。そう思わせてくれる金曜日。ましてやナンパシーズンの春の華金にアポを入れた。

 

理由は単純明快。

 

めっちゃタイプだったから。本当は水曜日に入れたはずだったんだけど、真冬のような寒さに加え、雨も降り、さらに行こうと約束したお店が休みだったから。

 

なんてこっちゃ。今思えばそのときから今日の敗北は決まっていたのかもしれない。そいう言い訳するくらいしか脳が働かない、そんなアポだった。

 

仕事終わりに某駅で待ち合わせ。

 

そのままいつものバーへ。今日あったことを話しつつバーへ。彼女の横顔はやっぱり可愛い。

 

お店につくと入れるか確認。運よく入れることに。お、今日は良い日かも、つかのまの幸運。これから2時間後に起こることもわからいのに、浮かれる。

 

飲むことに。彼女は自分が舐められたくないと思うタイプ。だから初めてのバーでも精一杯飲み込まれないように頑張っている。

 

そんな彼女を見るとなんだか応援したくなる。だから彼女に寄り添っていると、なぜだかいつの間にか彼女のペース。

 

気づいた頃には結構、手遅れ。どんどんペースをつかむ案件。それに伴い、自分は飲まれていく。

 

寄り添うはずが、いつの間に逆に飲まれている。

 

しまった。なんとかしないと。弄っても反応しない。

 

これはダメな奴だ。なんだか敗北を予感。

 

もうやれることはやろう。お店を出ようと告げる。

 

散歩しようと歩く。歩きながら手をつなごうとするも拒否。グダではなぐ明らかな拒否。

 

いま思えばここでもっと強引に行けばよかったのかもしれないが、今思えば後の祭り。

 

完全に守りに入っていた自分は、大事に大事に、2件目を挟めばなんとかなると、そんな甘い期待を寄せていた。

 

2件目。

 

某バーへ。

 

彼女、お酒が強い。酔わないと言っていたが、強い。男の方でも弱くない方の自分と比べても同じくらい強い。

 

おそらく、これで何人もよってきた男をやっつけてきたんだろう。容易に推測できる。

 

恋愛系の話も深く話さず切り替えされている。

 

「私、プラトニックな感じで十分なの」

 

と、下ネタにも食いつきなし。

 

半ば敗北を予感していたとき。彼女が2回目くらいのトイレと言って立ち上がったとき。

 

ふとスマホを見ると、別の案件から。

 

アラサーでS街で声掛けし準即できず、準々即につなげようとしていた子。

 

これまでナンパに成功して、Lゲできた子の中で1番タイプだった子からのメッセージ。

 

ちなみに2番は今日会った子。

 

メッセージの内容はシンプル。こちらの誘いに対するお断り。気になる人が出来たからというテンプレ的なもの。

 

前のアポから3週間くらい空いたから、こうなることは予想は出来ていた。

 

だからこのパンチはしんどいけど、アポ中だったけどまあ耐えられた。

 

ダメージを追っている自分、ふと我に返るとアポ中の彼女の帰りが遅い。

 

タバコを吸うと言って帰ってこない。

 

しばらくして帰ってきた彼女は、いかにも作ってきたような申し訳なさそうな顔をして、

 

「ごめん、知り合いに会ったから今日はこれで解散ね」

 

今思えば、アポ中に知り合いに会ったから解散なんてことあるかと思うけど、自己肯定感の低い自分にとってはまあそれもしょうがないかと思えてしまった。

 

そして、すでに半ば酔いつぶれかけていた俺はそのまま5分くらいそのまま席にうずくまってしまった。

 

周りの外人がこっちを見て指さして笑っている。気がする。

 

どう思われたってかまわないそう思った22時。

 

それからふと気になって。席を立ち、彼女が知り合った人は誰なのか見てやろうと思った。

 

フラれたときは颯爽と帰るのがセオリーだとは思うけど、ここはもうとことん惨めになってやろう。

 

奥の方にいき、わからないからメガネまでかけて。探し回った。

 

いた。

 

イケメンと楽し気に話している。目が合った気がするがたぶん気のせい。

 

メガネまでかけて追い回している惨めな自分をどう思うだろうか。いやもはや眼中にすらないのかもしれない。

 

その場に乱入してやろうかと思ったが、逆に相手の男の株を上げることになるし、こっちが惨めになるだけだからやめて静かにその場を立ち去った。

 

弱肉強食。

 

何万年たっても人間の世界は変わらず強いオスがメスを惹き付ける。

 

俺には惹き付けるだけの魅力がなかった。

 

帰り道。手当たり次第に声をかけた。春のおかげか、何か吹っ切れたせいか、短時間で2Lゲ1連れ出しという成果が出た。

 

23時以降でも華金のこの時間ならいけると、そう思わせてくれたことに感謝しようと思った小雨の降る春の夜。